産婦人科専門医が解説!選択肢として考えておきたい!卵子凍結保存の流れと気になる費用とは?
今回は働く女性の選択肢として考えておきたい卵子凍結保存について、産婦人科専門医で医学博士、東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科在籍の高橋怜奈医師にインタービューでお話を伺いました。
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目次
■卵子凍結はどんな人に適していますか?
年齢の若い卵子を残すことが出来るので、結婚をしていない、パートナーがいないが、将来妊娠を希望している人に適しています。
■卵子凍結は何歳から何歳まで可能ですか?
クリニックによって多少の違いがありますが、年齢の下限はなく、上限を39歳以下としているクリニックが大半です。40歳以上になると卵子の質が低下し、妊娠率が下がる為です。
■卵子凍結はどこで出来ますか?
不妊治療専門のクリニックや病院で出来ます。
■卵子凍結の流れを教えてください
まず、効率よく卵子を採取するために、内服薬や注射などを使用し、複数の卵子を成長させます。排卵誘発を行わず自然に卵が育つのを待つ方法もあります。その後採卵し、凍結させて保存するという流れです。採卵時は痛みがでるので麻酔をすることがあります。
■採卵はどのようにして行われますか?
膣の中に針のついた経膣エコーを入れ、膣から卵巣に向かって針を刺し、注射器のように吸引し採卵します。針を使用するので出血する場合があります。
■凍結した卵子を使い、妊娠するまでの流れを教えてください
凍結した卵子を融解し、顕微受精(卵子に精子をいれた針を刺し受精させる方法)を行い、受精卵を子宮に移植し、着床すれば妊娠となります。
■卵子凍結後の卵子を使って妊娠する確率はどのくらいですか?
卵子凍結をした後の卵子の生存率が約68~89%。
凍結した卵子を使用して妊娠する確率は約10.8%~43.3%という報告があります。
凍結した受精卵を使用する場合の妊娠率と凍結した受精していない未受精卵を使用しての妊娠率を比較すると
凍結した未受精卵を使用する場合の妊娠率の方が低いと言われています。
また、年齢が高ければ高いほど妊娠率は下がります。
30歳以下で採卵した場合の妊娠率は35%前後
31歳から34歳30%前後
35歳から37歳で25%前後
38歳から39歳で20%前後
40歳以上で15%以下
とされています。
上記は妊娠率ですが、年齢が高くなるほど流産の確率は高くなります。
30代後半では20%程、40歳以上では40%以上の自然流産があります。
■卵子はいくつ凍結するのが望ましいですか?
10個以上あることが望ましいです。
■卵子凍結の保存期限などはありますか?
50歳未満または45歳未満としているクリニックがあります。
高齢になると合併症などの様々なリスクがある為です。
■卵子凍結の費用や保管料を教えてください
自費診療のためクリニックにより差があります。おおよその例として、
採卵が10~25万円程
保存料が4~5万円程
更新料が3~4万円程
上記は卵子一個あたりの費用ではなく、クリニックによって違いがありますが、
卵子5個まででいくら、何個まででいくらなどとしているところがあります。
■今後、卵子凍結はどうなっていきますか?
選択肢として考える人は増えていくと思います。
■先生からの一言
卵子凍結は万能なものではありませんが、選択肢の一つになればいいと思います。
将来妊娠を希望する人は、子宮頸がん検診を受けておく事や、今すぐ妊娠を希望しないのであればピルを飲むなど色々な方法がありますが、気になることがあれば産婦人科へ相談に来てください。
■高橋怜奈先生について
産婦人科専門医、医学博士。
東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科在籍。2016年6月にボクシングのプロテストに合格。
Twitter、YouTube、TikTokでも医療情報の発信を行っている。
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産婦人科医YouTuber高橋怜奈
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