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産婦人科専門医が解説!自覚症状がない子宮頸がんと子宮頸がんワクチンの接種方法とは?

今回は自覚症状がない「子宮頸がん子宮頸がんワクチン」の接種方法について、産婦人科専門医で医学博士、東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科在籍の高橋怜奈医師にインタービューでお話を伺いました。

前回の記事はこちら

子宮頸がんはどんな人がなりやすいですか?


性交経験が豊富な人がなりやすいという人がいますが、それは違います。
HPV(ヒトパピローマウイルス)が原因でおこる子宮頸部にできるがんでHPVは性行為やそれに準ずる行為によって感染します。
HPVは外陰部や肛門にも存在するため挿入だけでなくオーラルセックスや性器を手で触ってその手で性器を触ることでも感染しますが、同じトイレを使用することでは感染しません。クラミジアや淋菌のような性感染症のようにコンドームで防げるものではなく、一度でも性行為の経験があればHPVに感染する可能性があります。

HPVとはどんなウイルスですか?


HPVは100種類以上あるウイルスでがん化するものとしないもので分かれます。ありふれたウイルスで、90%くらいの人が生涯で一度はHPVに感染すると言われています。ローリスク型のHPVは尖圭コンジローマの原因になり、ハイリスク型のHPVは子宮頸癌の原因となります。
HPVに感染したとしてもほとんどは自然に排除されますが、排除されずに持続的にハイリスク型のHPV感染が続いた場合、子宮頸がんの前がん病変を生じ、さらに子宮頸がんに進行する事があります。

子宮頸がんは昔と比べて増えていますか?


子宮頸がんはワクチン接種が多い国では減っていますが、日本では増えています。
初交年齢の低下により感染する時期が早まっている事と、ワクチンを打つ人が増えない事が原因です。
ワクチンを打つ人が増えない理由としては以前、ワクチンを打った人が歩行が出来なくなった、痙攣等の副反応が出たというニュースが報じられたことによりワクチンに対して悪いイメージを持っているためです。
思春期の頃は様々な症状が出やすく、ワクチンを打っていなくてもそのような症状が出ることがあります。そして、ワクチンの接種をした沢山の人のデータから、ワクチン接種後の様々な反応と、ワクチンとの因果関係は証明されなかったという結果が出ています。またこれまでに世界中で行われたHPVワクチンに関する、多くの臨床研究の解析から、HPVワクチン接種によって短期的な局所反応(接種部位の反応)は増加するものの、全身的な事象や重篤な副反応は増加しないと報告されています。

また以前は市区町村からワクチン接種のお知らせがありましたが、報道後は積極的にお知らせが来なくなり、ワクチンを打つ機会が無くなってしまったということがあります。

子宮頸がんは他のがんと何が違いますか?


がんは原因が分かっていないことが多い病気ですが、子宮頸がんはHPVが原因だとわかっているがんです。
初期で見つかるものが多く、ワクチンがあり、予防することが出来るというのが他のがんとの違いです。
ワクチンで予防できるので打たない事のデメリットの方が大きいです。

子宮頸がんはどんな症状ですか?


初期症状は殆どありません。がんが進行すると出血やおりものの量や臭いが変化します。
検診を受けていれば早期に発見できますが、初期症状が殆どないため、変化に気付いて病院に行くころには、他の臓器やリンパ節へがんが転移し、進行した状態で発見されることがあります。早期発見の為にも定期的に検診を受けることが望ましいです。

子宮頸がんの検診はいつ受ければいいですか?


検診は20歳以上は2年に一回の子宮頸がん検診が推奨されていています。住んでいる市区町村から検診のお知らせが来ます。

子宮頸がんはどのくらいの早さで進行しますか?


他のがんと違い、若い人ほど進行が早いなどはなく、年単位で進行します。進行が緩やかなため妊娠時にごく初期の子宮頸がんが発見された場合、出産してからの手術になる事もあります。

ワクチンをうけるタイミングはいつがいいですか?経産婦が受けてもだめですか?

初めての性交前の接種を推奨しています。性交経験がある人が接種しても効果はあります。アメリカは45歳以下であればワクチンの接種を推奨しています。

ワクチンの費用はどのくらいですか?


女の子であれば小学6年生から高校1年生相当の年齢までは無料です。
個別にワクチンのお知らせを送ってくれる市区町村もあります。
自費の場合、4価ワクチンで6万程度、9価ワクチンで10万程度です。

子宮頸がんにはどんな治療法がありますか?


初期は子宮頸部円錐切除術、子宮頸部レーザー蒸散術があります。進行している場合は子宮全摘出術や抗がん剤治療、放射線治療があります。
子宮頸部円錐切除術では流産や早産のリスクが高まるというデメリットはありますが、切除した検体の病理検査をすることができます。
子宮頸部レーザー蒸散術では流産や早産のリスクが高まることはありません。デメリットとしては病理検査が出来ないことです。

先生からのメッセージ


子宮頸がんは予防できるワクチンがあるので打つ事をお勧めします。年齢などにより受けるか迷う方は産婦人科で相談するといいでしょう。ワクチンを接種してからも子宮頸癌検診は受けましょう。HPVワクチンは性交経験があっても効果があるので遅いということはありません。
副反応についてのは日本産科婦人科学会のHPなど公的な機関の情報をご覧になってみてください。

日本産科婦人科学会 
子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために

みんパピ!
HPVワクチンについて知りたい方

■高橋怜奈先生について

産婦人科専門医、医学博士。
東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科在籍。2016年6月にボクシングのプロテストに合格。
Twitter、YouTube、TikTokでも医療情報の発信を行っている。

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@renatkhsh

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産婦人科医YouTuber高橋怜奈
https://www.youtube.com/channel/UCVR9XnYBIQ4OlGmFPUNGGVQ/featured

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