産婦人科専門医が解説!誤った避妊と正しい避妊方法とは?

避妊をしたつもりなのにまさかの妊娠!自分を守るために知っておくべき避妊とは?
誤った避妊と正しい避妊方法について産婦人科専門医で医学博士、東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科在籍の高橋怜奈医師にインタービューでお話を伺いました

■誤った避妊、正しい避妊とは

・誤った避妊とは

誤った避妊で特に多いのはコンドームを正しく使わないこと。コンドームを途中から着けたり、挿入して射精する直前にコンドームをつけるなど、最初からコンドームを装着しないければ、避妊にはなりません。
また、自分で計算した排卵日を避けて膣外射精をする事も正しい避妊とは言えません。排卵日は基礎体温を日ごろから付けていないと予測することが難しいのです。
また、生理中だからといって膣内、膣外射精しても妊娠しないというわけではありません。排卵日に生理のように出血する場合もあるので自分で『出血があれば生理』だと決めつけて、安全日や危険日を設けるのは危険です
例え、日ごろから基礎体温を測っていても、排卵日以外の日に妊娠する可能性もあります。
精子は長いと1週間近く生存するものもあり、一番妊娠しやすいと言われているのは排卵日の2日前。妊娠を希望して基礎体温をつけることはいいのですが、避妊の為に基礎体温をつけるのは危険です。

・正しい避妊方法とは

正しい避妊方法としてはコンドームを最初から最後まで使うこと。勃起した段階(挿入する前段階)でコンドームを装着し、射精する方法です。
カウパー液(いわゆる我慢汁)の中にも精子が含まれている可能性があるので、挿入前からコンドームを装着しないで挿入すると妊娠する可能性があります。
薬が飲める人であればピルを忘れず毎日服用すること。ピルの内服が難しい人には、ミレーナ®などの子宮内に入れる避妊リングがあり、ピルと同じように100%に近い避妊ができます。
ただ、完全に100%の避妊というのは存在しないので、コンドームとピルを一緒に使う、コンドームと避妊リングを一緒に使うなど2種類以上の避妊方法を組み合わせると、より強力な避妊が出来ます。また性感染症の予防ができるのでコンドームのみなので、コンドームの併用をして初めて性感染症予防ができます。
コンドームだけの場合、外れたり、破れたりすることがあるという事、ピルや、避妊リングでは性感染症を防ぐことが出来ないですし、わずかな確率で妊娠することもあるので、2種類以上の避妊方法を組み合わせると安心です。
ピルは一度でも飲み忘れると避妊の効果がなくなってしまうというわけではありませんが、飲み忘れた場合、避妊効果が落ちることがあります。
また飲み忘れのタイミングによってはアフターピルが必要になることがあります。きちんとピルを飲んでいても嘔吐や下痢などがあれば吸収不良で妊娠してしまう事もあるので、100%の避妊は存在しません。

■夫やパートナーがコンドームをつけてくれない場合

夫婦で避妊への理解に違いがあり(夫は膣外に射精することを避妊だと思っている)、夫がコンドームをつけてくれません。どうしたらいいですか?

どちらかが避妊をしたいが、どちらかが避妊に協力をしない、これ自体が性暴力です。避妊するかしないか同意を取りましょう。コンドームの装着は男性側の協力がないと避妊ができないので、ピルや避妊リングなど女性主体の避妊をすることも検討した方がいいでしょう。

■簡単な避妊方法

ミレーナ®(避妊リング)であれば一度子宮内に入れると5年間効果が持続します。
ピルのように毎日服用しなければならないという事もありません。
産婦人科で5分程で装着ができ、生理痛、過多月経の改善にも効果があるので生理痛や過多月経に悩んでいる人の場合、体への負担も軽減されます。
子宮筋腫など、子宮に異常がある場合、装着できないこともあります。費用としては自費診断の場合が5万~10万程。保険適応の場合は1万円程。

■確実に避妊をするには?

前途した通り、2種類以上の避妊方法を組み合わせる事。正しく知っておくことも大切です。射精前の精液にも精子が含まれていて妊娠する場合がある事。精子が1週間近く生きる事もある等。

■避妊に失敗した場合どうしたらいいですか?

性交後72時間以内にアフターピルを服用してください。アフターピルは排卵日でない人が24時間以内に服用した場合、99%の避妊効果がありますが、排卵日付近に服用した場合、避妊効果は90%程度です。
ピルよりも避妊効果が低く、アフターピルは緊急対応としてのものであり、妊娠の予防にはなりません。

■緊急避妊薬とはどんなものですか?

避妊に失敗してから72時間以内に服用する事で妊娠を予防する薬です。ただし100%の効果ではありません。(海外のものだと120時間以内までの薬もでていますが、日本ではまだ認可されていません。)

・緊急避妊薬の副作用

現在発売されているものは殆ど副作用がありません

・金額

保険適応外で1錠6千円~2万円ほど

■先生からの一言

100%の避妊方法はないので、2種類以上の避妊方法を組み合わせて避妊しましょう。
性感染症を予防できるのはコンドームだけなのでコンドームを正しく装着しましょう。

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■高橋怜奈先生について

産婦人科専門医、医学博士。
東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科在籍。2016年6月にボクシングのプロテストに合格。
Twitter、YouTube、TikTokでも医療情報の発信を行っている。

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産婦人科医YouTuber高橋怜奈
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